目次
1.はじめに
日本は約37.8万k㎡という狭い国土に多種多様な生きものが暮らし、その種数は知られているだけでも9万種以上といわれています。そのため、わざわざ遠くの観光地や国立公園などに行かなくても、里やまを代表とする暮らしに身近な自然の中に少し足を踏み入れれば、多くの生きものと出会うことができます。しかし今、この豊かな自然が変化しつつあるのです。
例えば、以前はどこにでもよく見られた田んぼや畑、雑木林などは多くの生きものの暮らす大切な場所ですが、住宅地や駐車場、道路などの開発によって失われ、そこに暮らす生きものたちも同時に身近な場所から姿を消しつつあります。最近は海外から持ち込まれた生きもの(外来生物)によって、昔から日本にいた生きもの(在来生物)が食べられたり、すみかを奪われたりすることのほか、地球温暖化や、農薬などの化学物質の使用などによっても、生きものたちの暮らしに影響が及んでいます。その結果として、秋の七草に詠まれるような、以前は日本人の暮らしにとても身近だった生きものを含め、多くの在来生物が絶滅の危機に瀕していることが、様々な研究からわかってきました。
一方で、日本の自然とそこに暮らす生きものたちのことは、まだまだわからないことが多いのが実情です。種類によっては(特に昆虫の仲間などは)まだ名前さえつけられていないものもあり、在来生物の中には、どんなところに棲んでいて、何を食べているかさえわかっていない生きものも数多くいます。また「スズメ」などのように身近な場所に暮らしていて、棲むところや食べ物などは分かっている生きものも、日本全国にどれくらいいるのかといった個体数はよくわかっていません。個体数までわかっている(予想されている)種類は、絶滅の危機に瀕している種類など、ごく一部に限られているといえます。
みなさんは普段の暮らしの中や、旅行に行ったとき、また自然観察会に参加したときなどに、いろんな生きものを見たり、鳴き声を聞いたりすると思います。みなさんしか知らない生きものの記録は、日本の自然の変化をよりよく知るための、ほかに代わることのできないとても大切な情報なのです。「生きもの情報館」は、この大切な情報を使って、日本の自然のことをよりよく知るとともに、里やまを代表とする身近な自然の保護を進めるためのwebサイトです。
2.「生きもの情報館」で目指すこと
「生きもの情報館」は、(株)NTTデータの協力を得て、(財)日本自然保護協会/NACS-J(ナックスジェイ)が企画・運営するwebサイトです。NACS-Jは「生きもの情報館」を使うことで、以下の4つのことを目指しています。
(1)日本全体の自然の健康診断を目指します
(財)日本自然保護協会/NACS-J(ナックスジェイ)は、「生きもの情報館」を通して、みなさんが自然観察会に参加した時や、または普段の暮らしの中で、見たり、声を聞いたりした生きものたちの情報を集め、解析することで、日本全体の自然の健康診断をしたいと考えています。きちんと診断するためにはできるだけたくさんの場所で、またできるだけたくさんの生きものの記録が必要となります。
(2)たくさんの目で見ることが、新しい発見をもたらします
多くの方が生きものの観察記録を登録してくださることで、いろいろな生きものについての情報が集まるだけでなく、例えば「スズメ」のようなよく見る生きものについても、報告が多いほど情報がより正確になります。それによって今まで研究者の人たちも気づいていない、生きものの分布や個体数の変化など、重要な変化に気づくことができるかもしれません。
(3)生きものの暮らしや棲む場所の変化を見つけます
いただいた情報はNACS-Jがいろいろな視点から解析して、その結果を生きもの情報館に公開します。例えば、地球温暖化がこれから進むと、沖縄など南の方にしかいなかったサンゴが、九州や四国などまでいるようになったり、桜の咲く時期が早くなったり、カエルが卵を産む時期がずれたりする可能性があると言われています。特にテーマを絞って情報を集中的に集めることでたくさんの情報があれば、そのような変化をとらえることが可能となります。
(4)変化がわかったら、対策につなげます
情報を解析して、何かの変化が見えてきたら、できるだけ早めに対策をとることが大切です。例えばアライグマなどの外来生物については、これまでにまだ見つかっていない場所で、新たに見つかる可能性もあります。間違いない証拠があれば、関係する市町村や都道府県などに情報を提供することで、これ以上分布が広がらないように早めの対策をとるよう働きかることもできるでしょう。
ぜひ「生きもの情報館」を使って、みなさんしか知らない生きものの観察の記録を、NACS-Jに教えてください。
3.「生きもの情報館」活用法~「生きもの情報館」でこんなことができる!~
みなさんが観察した生きものの記録を「生きもの情報館」に登録するメリットは大きく分けて3つあります。
(1)観察した位置を簡単に地図に落とせる!
「生きもの情報館」に観察した生きものの情報を登録するときには、いつ、何を見たかということだけでなく、どこで見たかも合わせて登録していただきます。観察場所は登録した記録ごとに保存されるので、自分が登録した記録や、自分が参加しているグループ*1)の記録については、詳細な観察場所をいつでも簡単に見ることができます。
(2)選んだ生きものだけの分布図を簡単に作れる!
「生きもの情報館」に登録した記録の中から、分布図にしたい記録だけを選んで、簡単に分布図を作ることができます。例えば、ある公園で繰り返し自然観察会を行っているとしましょう。その観察会で見た生きものの記録すべてを登録していた場合、数が多いと何がどこにいたのか分からなくなってしまいます。そこで去年と今年の記録だけを選んだり、特定の種類だけを選んだりすると、自分好みの分布図を簡単に、きれいに作ることができます。
(3)日本の生物多様性保全の活動に参加できる!
『2.「生きもの情報館」で目指すこと』にも書いたように、「生きもの情報館」にたくさんの情報が集まることで、温暖化の影響や外来種の分布の拡大、在来生物の分布や個体数の減少など、いろいろな日本の自然の変化が見えてくると期待しています。このような解析の結果は、管理者からの連絡のページに定期的に報告させていただく予定ですので、楽しみにしていてください。
*1:グループの機能は、モニタリングサイト1000里地調査の協力者専用の機能となっています。
4.利用上の注意
ここでは、「生きもの情報館」を使っていただく上で注意していただきたいことをお知らせします。気持ちよく、楽しくこのサイトを使っていただくために、ぜひご協力ください。
なお、「生きもの情報館」の使い方の詳細は、トップページ右上、「使い方」に詳しく説明していますので、ご覧ください。また「使い方」のページを見てもよくわからない場合には、同じくトップページ右上または下の「お問い合わせ」のボタンから直接問い合わせてください。
4-1.「生きもの情報館」の運用期間について
「生きもの情報館」の運用は3年を目処に見直す予定です。システムの利用が少ないと打ち切りになってしまう可能性がありますので、利用者の増加やデータの登録にぜひご協力ください。
4-2.「生きもの情報館」に登録したデータの保障ついて
利用規約*2)にもありますが、「生きもの情報館」に登録していただいたデータは、システムのトラブルなどによって失われてしまう可能性があり、データが保存されることをNACS-Jが保障するものではありません。登録したデータを紛失しないよう、野帳や打ち出した紙などは大切に保管しておいてください。
*2:「生きもの情報館」トップページの会員登録のボタンを押すと表示されます。
4-3.ニックネームとパスワードを他の人に教えない
「生きもの情報館」に登録した自然観察の記録が心ない人に知られると、特に希少種については乱獲されたりする可能性があります。自分のニックネームとパスワードは、絶対に他の人には知らせないようにしてください。
5.お問い合わせ
「生きもの情報館」の使い方や、そのほかの問い合わせについては、下の「お問い合わせ」のボタンまたは、トップページ右上の「お問い合わせ」から、直接管理者まで問い合わせてください。数日中に管理者よりメールでご返答させていただきます。